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JRFUメンバーズクラブ会報誌「JAPAN ! JAPAN !」第71号

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「ハーフタイム」~村上晃一の会報誌こぼれ話~

今号の巻末インタビュー「PLAYERS SAY」は、パナソニック ワイルドナイツのサム・ワイクス選手。オーストラリアのシドニー出身だが、オーストラリアの若いアスリートを育成する機関についての言及もあり、興味深い内容だ。好きな食べ物は、トンテキ丼、焼き肉、馬刺し、鳥刺し。日本食が大好きなのだ。プロフィール欄は思わず笑える答えが多いので、今後もご注目を。さて、メインの対談は今季限りで現役引退を表明した菊谷崇さん(キヤノンイーグルス)と、菊谷さんのトヨタ自動車ヴェルブリッツ時代のチームメイト北川俊澄選手とのもの。内容は本誌を読んでいただくとして、誌面には書いていない後日談などご紹介したい──。

菊谷崇さんは、1980年2月24日、奈良県生まれ。御所工業高校(現・御所実業高校)でラグビーを始めて、大阪体育大学、トヨタ自動車ヴェルブリッツ(2002~2013)、サラセンズ(2014)、キヤノンイーグルス(2014~)でプレーした。2017年10月7日の神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦で、史上4人目のトップリーグ150試合出場を達成している。これに続いたのが北川俊澄選手だ。この2人、菊谷さんが一学年上なのだが、北川選手は「キク」と呼ぶ。その理由は対談記事で語られているが、後日、こんなことも教えてくれた。

「大阪体育大学の一学年下に久住辰也(くすみ・たつや)という選手がいて、久住もトヨタ自動車に入ってきたので、食事するときはずっとご馳走していたんですよ。そのうち、いったいいつまで俺が払うんだと思い始めて、同期と同じ扱いの友達になることにしたんです。そうしたら割り勘でいいじゃないですか(笑)」。

体育会系といえば、上下関係が厳しいイメージがあるが、バリバリの体育会で育ってきた菊谷さんが自ら後輩と友達になっていくあたりが面白い。最近のラグビー選手たちを見ていると、理不尽な上下関係はなくなっている気がする。挨拶などの礼儀はあるが、対等に話しているように見受けられるのだ。連携を密に組織で戦わなくてはいけないラグビーには、厳しい上下関係は邪魔なものなのかもしれない。

十数年前、昭和初期に京都の第三高等学校(国立の旧制高校)でラグビーをした人に話を聞いたことがある。「僕らの頃は理不尽な上下関係なんてないですよ。先輩の名前にも敬称はつけない。さんを付けて呼ぶと、水くさいと言われるほどでした。みんなでよく旅行に行きましたよ」。戦前の話だが、その頃の学校でのスポーツは欧米のクラブスポーツのように自由で自主的な雰囲気があったようだ。それが本来の姿ということだろう。

今回の対談では菊谷さんの引退後の話はまだ明かされなかったのだが、2月9日に行われたトークイベントで、菊谷さんが今後の進路を明らかにした。プロコーチが小学生に指導するアカデミーの設立である。箕内拓郎さん(日本代表48キャップ、2003年、2007年ラグビーワールドカップ日本代表キャプテン)、小野澤宏時さん(日本代表81キャップ)というビッグネーム3人での立ち上げだ。ラグビーの指導者として生きていこうと、菊谷さんは、日本体育大学の大学院でコーチ学を学んだ。今年度の高校日本代表FWコーチも務めており、コーチとしての今後にも期待が高まる。ラグビー、そしてスポーツの楽しさを伝え続けてくれるだろう。

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