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JRFUメンバーズクラブ会報誌「JAPAN ! JAPAN !」第90号

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「ハーフタイム」~村上晃一の会報誌こぼれ話~

記念すべき90号の会報誌は、ジャパンラグビー トップリーグ2021特集である。表紙はボーデン・バレット選手(サントリーサンゴリアス)。正確なパス、キックで味方を走らせ、開幕5連勝(本稿締め切り時点)の立役者だ。筆者が感じているだけかもしれないが、豪雨の試合でも涼しげで、まるで彼の周辺だけ太陽が差し込んでいるかのような存在感でファンを魅了している。これは、昨季まで神戸製鋼コベルコスティーラーズで活躍したダン・カーター選手も同じたが、ゲームを操る名SO(10番)は70%か80%くらいの力でプレーしているように見えるものだ。余裕があるからこそ「華麗」と表現されるプレーが次々に繰り出される。世界最優秀選手に2度輝いたバレット選手の円熟したプレーを日本で見ることができる幸せを毎度かみしめている。

一方、今号の巻頭インタビューに登場するTJ・ペレナラ選手(NTTドコモレッドハリケーンズ)は、全力プレーが観る者の心をつかんでいる。今号は「トップリーグ解説者対談」として、大西将太郎さんと藤島大さんが今季の戦いぶりについて語っているのだが、藤島さんがペレナラ選手のことを「トップリーグの申し子」と形容した。スピーディーで攻撃的なプレースタイルが特徴のトップリーグで、ペレナラ選手はその能力を全開にしている。フィールドを駆けまわって息が上がることもあるが、何より、楽しそうなのがいい。その笑顔は観戦者に幸せを運んでいる。

ヴィンピー・ファンデルヴァルト選手とのインタビューの中で、ペレナラ選手が「カラキア」について触れている。NZの先住民族であるマオリ族は昔から朝や、食事の前などに祈りを捧げる慣習があるそうだ。マオリ族にルーツをもつペレナラ選手は、オールブラックス(ニュージーランド代表)の試合前のハカをリードする。ちなみに、試合後にペレナラ選手が相手チームの一部の選手と鼻を合わせて健闘を称え合っていることがある。あれも、マオリ族の挨拶だ。

大西さんと藤島さんの対談で語られたことで、もう一つ書きたい。若手の注目選手として名前の挙がったメイン平選手が今号の巻末インタビューに登場する。奈良県の御所実業高校を卒業後、ラグビー王国ニュージーランド(NZ)に渡り、リコーブラックラムズ入りした。興味深いのは、NZにいるよりもリコーのほうが質の高いコーチングを受けられると判断して帰国した点だ。20歳前後の選手が海外で武者修行するのは、心身ともにタフになるという意味では貴重な機会だ。しかし、ただ行けば良い経験ができるとは限らない。トップリーグには各国代表の監督経験者などが並んでいる。そのコーチングレベルは、スーパーラグビーやヨーロッパのトップクラブ・クラスであり、海外から多くの有名選手が来日している要因の一つでもある。今季、質の高い試合が多いのもコーチングのレベルアップが最大の理由だろう。トップリーグのプレーオフでは各コーチの采配も注目される。

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