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JRFUメンバーズクラブ会報誌「JAPAN ! JAPAN !」第88号

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「ハーフタイム」~村上晃一の会報誌こぼれ話~

88号の表紙は、神戸製鋼コベルコスティーラーズの3選手である。共同キャプテンの一人トム・フランクリン(もう一人のキャプテンは日和佐篤)、チーム加入4年目の重一生(しげ・いっせい)、そして、新加入の李承信(り・すんしん)の3選手である。「変化球」の人選かもしれないが、チームの中の色々な立場の選手が語っていて神戸製鋼のチーム状況がよく分かるかもしれない。

面白いと思ったのが李選手のコメント。帝京大学を退学し、海外留学をしようと思ったのだが、「そのまま海外に行くよりも神戸製鋼に入ったほうが成長できると思った」という。もちろん、頼る人が誰もいないような場所で心身ともに鍛えられたほうが、人としても成長できるという考え方もあるだろう。だが、現在のトップリーグの各チームには世界トップレベルのコーチングスタッフが揃い、各国代表クラスの選手が多数参戦している。19歳の李選手には願ってもない環境だ。SOとしてプレーするようだが、高校日本代表、U20日本代表と、着実に成長してきた李選手がどこまでレベルアップできるか楽しみだ。

3人の座談会の後ろの企画は、トップリーグの太田治チェアマンが新シーズンの見どころを語っているのだが、その中に今季より神戸製鋼に加入した、元ニュージーランド代表のSOアーロン・スミス、ユーティリティーBKのベン・スミス両選手の記者会見の写真が掲載されている。この会見は神戸港の船上(boh boh KOBE 号)のデッキで行われた。コロナ禍での感染対策の意味合いもあったが、船上記者会見は極めて珍しい。2選手の故郷であるニュージーランドも日本と同じく周囲を海に囲まれた島国だ。同国最大の都市オークランドは「シティ・オブ・セールズ(帆の街)」と呼ばれ、セーリングが盛ん。2人もとても気持ちが良かったようで、会見後は神戸港クルーズに出かけて楽しそうにしていたらしい。チーム側の粋な計らいだった。

boh boh KOBE 号の乗船場の中突堤中央ターミナル「かもめりあ」には、2016年に亡くなった平尾誠二さんの写真も飾られており、神戸製鋼とも深い関係がある。2人のお気に入りの場所になったかもしれない。ちなみに、2人は報道陣から「日本で食べたいもの」を問われて、「生のチキン」と言っていた。それは「鳥刺し」ではないか。来日した外国人選手にインタビューなどすると、必ず日本の美味しい食べ物のことを語る。「寿司、天ぷら、焼肉」が定番だが、鳥刺しは初めて聞いた。もう食べただろうか。

食の話でもう一つ。巻末のインタビューに登場するのは、日本代表のジェームス・ムーア選手(宗像サニックスブルース)だ。ムーア選手は最近、肉を食べるのを控えているという。サステナビリティに配慮してのことだそうだ。環境問題について勉強し、持続可能な社会を目指すために肉を食べない。そういう選手に初めて出会った。

トップリーグは、2019-2020シーズンより、SDGs(Sustainable Development Goals)「持続可能な開発目標」への取り組みを開始している。「ラグビーを通じて誰も取り残さない社会へ」をSDGsの実施をしていく上での基本理念とした。加盟する全チームの選手・スタッフを対象とした「SDGs講習会」も開催された。新シーズンのトップリーグもこの取り組みは続けるそうだ。今後は、ムーア選手のように、環境問題を考えるトップリーガーが次々に出てくるのかもしれない。

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