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JRFUメンバーズクラブ会報誌「JAPAN ! JAPAN !」第86号

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「ハーフタイム」~村上晃一の会報誌こぼれ話~

86号の表紙、巻頭インタビューは男子セブンズ日本代表の松井千士選手だ。本来なら、今回の会報誌は東京オリンピックを盛り上げる内容になるはずだった。しかし、延期が決まったことで、男子セブンズ日本代表の中心選手である松井選手に来年への抱負を語ってもらうことになった。取材はオンラインで行った。実は、福岡堅樹選手のオリンピック挑戦断念、松井選手のキヤノンイーグルスへの移籍は、取材後、明らかになった。

今回は締め切りまで時間があったので、松井選手に追加コメントをもらって構成した。福岡選手のオリンピック挑戦断念を受け、「僕は堅樹さんとポジションを争う立場でもあって、僕をより一層成長させてくれる存在ですし、一緒にプレーして真似できるところは真似したかったので残念です」と語った。松井選手は、前回のオリンピックでは福岡選手がメンバー入りしたことによって登録メンバー12人から落選した。それでも今回勝負したかったというのは、4年間、セブンズの経験を積んできた自信とプライドだろう。

セブンズのメンバーのあいだでは「堅樹さんが、すぐにセブンズの代表メンバーに選ばれるようでは、メダルを獲れるチームじゃないね」と話していたという。メダルを獲るためにセブンズに特化してハードトレーニングを続けてきた選手たちに対して、福岡選手がオリンピックに出場するのが当然のように語るのは失礼な気がした。福岡選手もオリンピックのメンバー入りを目指す選手の一人だったのだから。まっすぐにオリンピックを見据える松井選手、医師の道へ予定通り進む決断をした福岡選手。迷いのない2人から前向きなエネルギーを強く感じる。松井選手のインタビュー、ぜひご一読を。

今号はサンウルブズの最多出場記録を持つ浅原拓真選手にもじっくり話を聞いている。2016年からサンウルブズに参加して43キャップ。今季はトップリーグと重なってしまったが、もし、オーストラリアで開催されている「スーパーラグビーAU」にサンウルブズが参戦することができたら、手を上げるつもりだったという。その姿を見たかったファンの皆さんは多いだろう。一番大きく使った写真は、浅原選手が一番好きだという2016シーズンのファーストジャージーを着用したもの。プロフィール欄は写真ではなく自画像。タブレットでなんでも描いてしまう才能は、これからも多くのラグビーファンを楽しませてくれそうだ。

巻末のインタビューは、神戸製鋼コベルコスティーラーズのタウムア・ナエアタ選手。2020年のトップリーグはシーズン途中で終わったが、6試合に出場して3試合でマン・オブ・ザ・マッチを受賞した。トンガ出身で高校卒業後に来日。流通経済大学ラグビー部でプレーしたこともあり日本語は堪能なのだが、今回はオンラインでのインタビュー。聞き取りづらい部分もあるかもしれないので、チームの広報担当者に確認すると「まったく問題ないです。都合の悪い時は日本語が分からないフリをしますけれど(笑)」とのこと。これは、海外からやってきた選手の「あるある」だ。

長らくラグビーの取材をしてきたが、トンガ出身選手の日本語の上達の早さには驚かされる。東芝で活躍したナタニエラ・オト選手が大東文化大学に在学していた頃、合宿所に取材に行ったことがある。入口を探していたら、窓から自然な日本語で「何か御用ですか」と声がかかった。振り返るとオト選手だった。昨年のラグビーワールドカップでも活躍したレメキ ロマノ ラヴァ選手が日本代表入りしたばかりの頃、英語で「質問しても良いですか」と問いかけたら、「いいですよ」と普通に日本語で話してくれた。彼は20歳で日本に来て社会人チームでプレーし始めたが、あっという間に日本語を覚えた。トンガ語と日本語の「音」が似ていることも一因らしいが、与えられた環境への適応能力の高さも、世界中でトンガ出身選手が活躍する理由だろう。今後の日本代表入りが期待されるナエアタ選手の好きなトンガ語は「マロレレイ=こんにちは」。ナエアタ選手に会ったら、ぜひ「マロレレイ」と声をかけて笑顔を引き出してみてほしい。

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