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JRFUメンバーズクラブ会報誌「JAPAN ! JAPAN !」第68号

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「ハーフタイム」~村上晃一の会報誌こぼれ話~

8月9日より、女子ラグビーワールドカップ(WRWC)2017がアイルランドで開幕する。今号もたくさんのインタビューがあるが、女子15人制日本代表(サクラフィフティーン)の有水剛志(ありみず・ごうし)ヘッドコーチは本誌初登場だった。有水さんは、鹿児島県出身で、早稲田大学ラグビー部OB。現役時代はFW第二列のLOで活躍した。卒業後は、日本国土開発株式会社に入社。ラグビー部に所属し、2000年からはタマリバクラブでプレーしていた。いまやクラブチーム界の強豪となったタマリバの創部メンバーだ。早稲田大学ラグビー部のコーチ、U20日本代表FWコーチなどを経て、2014年からサクラフィフティーンの指揮をとっている。女子ラグビーの話を聞くとき、どうしても男子との比較をする質問をしてしまうのだが、有水さんは慎重だった――。

言葉を選び、簡単に男女の比較をしたがらない。それはそう。それぞれに色んなキャラクターの選手がいるのだから、男性だから、女性だからと、まとめては語れない。質問の仕方を反省した。技術面については男女の違いを話してくれたのだが、「キック力の違い」は分かりやすかった。誌面にもあるが、男子選手に比べてキックの飛距離が短いので、グラウンド中央でペナルティーキック(PK)を得ても、陣地を進めることが出来ない、ということだ。グラウンドの横幅は70mあり、中央からだと、少なくとも35mは飛ばさないとタッチラインを越えられない。前進しようとすれば、50m以上は飛ばさなければならない。しかし、日本の女子選手で50m以上のキックができる選手はほとんどいないという。だから自陣でPKを得た場合などは、さまざまな工夫が必要になる。WRWCでは、どんな工夫で地域獲得をするのか、ひとつの見どころかもしれない。

世界的に女子ラグビーは7人制のほうが盛んで、15人制は試合数が少ない。日本でも試合の機会が少ないのが現状だが、女子選手達の多くが15人制もやりたがっている。7月30日に行われたサクラフィフティーンのWRWCの出場メンバー発表記者会見で、数名の選手に話を聞いたのだが、「15人制のほうが仲間の絆の強さを感じる」という声が多かった。7人制はスペースも広く、どちらかというと個人技重視だが、15人制は仲間のサポートが分厚く、仲間に守られている感じがするのかもしれない。チーム一丸となって戦うサクラフィフティーンを見るのが楽しみだ。

有水さんへのインタビューはメンバー発表の2週間ほど前に行われたが、軸になる選手について聞いても、絶対に教えてくれなかった。どこかから選手の当確情報が伝われば、傷つく選手も出てくるからだ。選手達はWRWC出場を巡って戦っている。コーチとして軽はずみなことは言えないという姿勢に感銘を受けた。有水さんは「ベスト8入りを狙います」と言った。「初戦のフランス代表戦にピークを持っていきたいです」。事前に試合会場を視察するなど、準備も万端。どこか、2015年の男子ラグビーワールドカップの日本代表を思い起こさせる。結果も大切だが、そこで女子の15人制も面白いと思われる試合をすることが、今後につながる。いい試合を見せてもらいたい。

その有水さんは、U20日本代表のFWコーチをしていたことがある。そのとき指導した選手に、今回、巻末インタビューに登場する庭井祐輔選手(キヤノンイーグルス)がいた。「すごくリーダーシップのある選手だと思っていました」とのこと。残念ながらサンウルブズの一員として出場した7月15日のブルーズ戦で怪我をしてしまったが、この春のサンウルブズ、日本代表での活躍からしてリーダーとしての今後に期待は膨らむ。インタビューの中にある通り、庭井選手が目指すのは、2019年に日本で開催される第9回ラグビーワールドカップに出場することだ。早い回復を祈りたい。

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