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JRFUメンバーズクラブ会報誌「JAPAN ! JAPAN !」第67号

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「ハーフタイム」~村上晃一の会報誌こぼれ話~

メンバーズクラブ会報誌67号は、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの選手達が次々に登場する。彼らは皆、日本代表入りへの想いを語っていた。もちろん、自分が選ばれるかどうか分からない中でのことだ。サンウルブズから日本代表、そして2019年のラグビーワールドカップ(RWC)へ。選手達の想いは純粋で熱い。その多くの選手が、5月29日に発表された日本代表メンバーに名を連ねた。今回は、中鶴隆彰、江見翔太、松島幸太朗というバックスリー(WTB、FB)、そして、長谷川慎コーチ、稲垣啓太、浅原拓真、山路泰生というスクラム最前列のプロップ陣による座談会がある。皆、とても仲が良く、楽しいトークになったのだが、スクラムの話は予想通り興味深いものだった――。

スクラム強化を担当する長谷川慎コーチ(45歳)は、京都の東山高校から中央大学に進み、サントリー、日本代表でも活躍したプロップだ。現役時代からスクラムには人一倍思い入れがあった。2007年、2011年のRWCで日本代表キャプテンを務めた箕内拓郎さんによれば、「僕はNO8で、スクラムをそれほど重視していなかったのですが、慎さんには、NO8も押せ!と叱られました」とのこと。8人の力を結集してこそ「ニッポンのスクラム」だという思いは現役時代からのことだったのだ。

その長谷川コーチは、昨年のサンウルブズのスクラムを見て、「押しているときも、押されているときも、(選手達が)理由が分かっていない」と感じた。「その理由を言葉にできれば、強くなると思いました」。理由を言葉にできるということは、スクラム以外のラグビーのプレーでも大切なことだろう。サンウルブズのスクラムにはいくつものキーワードがある。今回の座談会ではその一端しか明かされていないが、その言葉が分かりやすく、選手には好評だ。面白いのは、きめ細やかなスクラムの指導で知られた日本代表の前スクラムコーチ、マルク・ダルマゾさんのほうが長時間徹底して組み込ませる指導法で、長谷川コーチの方が理論的で短時間だということ。これまでの海外のコーチと日本のコーチのイメージの逆なのだ。長谷川コーチは「長時間組むと、惰性で組んでしまう。それよりも、一本一本理解しながら大事に組んでほしいのです」と話していた。

ただし、望んで短時間にしようとしているわけではないらしい。「マルク(ダルマゾ)のスクラム練習の時間は長かった」と話す稲垣啓太選手をニヤニヤと見つめながら、「やりたい? 長時間にしようか? 俺もほんとうは1時間でも2時間でも組みたいよ。でも、スクラム練習にそれほど時間を与えられていないから」と本音もポロリ。すると、稲垣選手が「エディーさんも、マルク(ダルマゾ)の練習が長いって、よくケンカしていました。でも、マルクも練習をやめないんです(笑)」と、懐かしそうに語った。この他、元気者のプロップ山本幸輝選手のエピソードなど、スクラムの話をしているときのプロップ陣の表情は幸せそうで、聞いているこちらも癒された。インタビュー後の写真撮影は爆笑の連続。写真を撮られる瞬間に胸を張って、筋肉を大きく見せようとするのはプロップの「性」なのか。長谷川コーチが一番胸を張っていたのが面白かった。

長谷川コーチが作り上げようとしているのは、小さな体格の選手が互角以上に組むためのスクラムであり、誰が試合に出ても強さに違いが出ないように、FW全員がスクラムの構造をよく理解することだ。RWC2019のプールAでは、アイルランド、スコットランドという体格の大きなヨーロッパ勢と戦うことになった。ヨーロッパ地区1位の枠も入るが、ここはルーマニアの可能性が大きい。スクラムで徹底して圧力をかけてくる相手に対して、いかに踏みとどまれるかが、決勝トーナメント進出の鍵になる。RWC2019まで残された時間は、800日あまり。長谷川コーチとFW陣のスクラム強化の旅は続く。これまであまりスクラムに関心のなかった皆さんも、スクラムに注目する第一歩として、今号の座談会をぜひご一読ください。

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