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JRFUメンバーズクラブ会報誌「JAPAN ! JAPAN !」第66号

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「ハーフタイム」~村上晃一の会報誌こぼれ話~

メンバーズクラブ会報誌66号も各カテゴリーで活躍する選手や指導者のインタビューが満載。どれも興味深いのだが、第三者の目で見ている印象と、選手本人の自己評価が違うのも面白い。たとえば、パナソニック ワイルドナイツ入りした小山大輝(たいき)選手。大東文化大学時代からの活躍を見ていると、なんでもできる天才肌のSHに見えるのだが、本人はナショナル・デベロップメント・スコッドの合宿に参加して、「スキルはまだまだ」と感じたそうだ。「僕はキックも下手ですから」。その小山選手は座談会に真っ先に現れて、「小山です!よろしくお願いします!」と手を差し出した。一緒に参加した松田力也選手、渡邉隆之選手も屈託のない笑顔で語ってくれて、気持ちの良い取材だった。さて、今号の取材を通して、とてもポジティブな気持ちになったのが、ジュニア・ジャパンの遠藤哲ヘッドコーチの話だった――。

3月にフィジーで行われた、ワールドラグビーパシフィック・チャレンジに参加したジュニア・ジャパンは、サモアA、トンガAを下し、フィジー・ウォリアーズに続いて2位になった。これまでこの大会には、ほぼU20日本代表という若い編成で参加していたこともあって大敗が多かったのだが、今回は、U20日本代表が15名に、オーバーエイジ13名を加えての参加。基本は大学生でトップリーガーは一人も入っていない。そんな編成で、国代表に準ずるチームと互角以上に戦った。いったい日本の若い世代に何が起きているのかと疑問を持った人が多い気がする。

誌面にも紹介されているのだが、遠藤ヘッドコーチから、大会開幕直前の練習について、こんなコメントがあった。「選手の理解度は高く、一回の練習で、三回、四回やったほどの吸収力がありました」。もちろん、コーチ陣の的確な指示があってこそだが、この世代のレベルアップについて聞いてみると、こんな答えが返ってきた。「ウェートトレーニングひとつとっても、私が5年前にU20の選手を初めて見た時は、やっていない選手が多かった。でも、それが前提になった。ここは日本ラグビー界の成長だと思います。ボールの動かし方の理解力も出てきている。昔のように体格で負けるということはなくなり、スクラムも押せる。それよりも試合運びの中でのキックのスキルや、チーム全体のキック戦術の理解が劣っている。大切なのは、ラグビーフットボールの理解ということなのでしょう」

2015年のラグビーワールドカップで好成績をあげた日本代表が、各カテゴリーの指導者や選手の意識を変えたのは確かだろう。世界に通じるトレーニングを導入し、戦術の理解も深まっている。いったんは強豪国を引き離された感のあった高校、大学世代の質が上がっているというのは嬉しいし、今後の日本ラグビーにとっては明るい材料だ。遠藤ヘッドコーチの言葉通り、今後の課題はさらなるゲーム理解と、総合的なスキルのレベルアップなのだろう。

本誌の取材以外でも、最近、多くの選手から「将来は世界に通用するようなコーチになりたい」という話を聞くようになった。こちらも楽しみだ。遠藤ヘッドコーチは、U20日本代表のヘッドコーチとして、今年の8月に行われる「ワールドラグビーU20トロフィー」に臨む。ここで優勝すれば、再び、世界トップの12チームで行われる「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ」に昇格できる。ジュニア・ジャパンでの好成績を、こちらにもつなげてほしい。

ぜひ、今号の遠藤ヘッドコーチのインタビューをご一読ください。前向きな気持ちになることができますよ。

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