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JRFUメンバーズクラブ会報誌「JAPAN ! JAPAN !」第51号

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「ハーフタイム」~村上晃一の会報誌こぼれ話~

今号は超豪華版「東芝ブレイブルーパス、各国代表選手座談会」の取材があった。南半球三強国のニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの代表選手が勢ぞろいしての座談会である。この中で、やんちゃ坊主のように話していたのが、盛り上げ役のクーパ・ブーナ選手だった。ニュージーランド出身でオーストラリア代表となった選手だが、その身体にはトンガの血が流れている。このブーナ選手、どうやらチームに入ったばかりのフランソワ・ステイン選手(南アフリカ代表53キャップ)に、ライバル心をめらめらと燃やしているようなのだ――。


座談会の間は、108㎏のステイン選手に「デブ」と言い放つなどちょっかいを出し、練習中にステイン選手が60mの長距離ドロップゴールを決めてみせると、「キックだけだ」など、何かと茶々を入れるのだとか。もちろん、仲が良いからこそだが、トンガやサモアの選手がこうした純情で一途な行動をとることは各チームの関係者からよく聞く。たとえば、試合のメンバーから外されたときは、見た目にはっきり分かるほど落ち込むそうだ。

昨季までNTTコミュニケーションズの監督だった林雅人さんに聞いたのは、サモア代表のスター選手だったトゥイランギ選手が週末の試合に出られないことが分かると、ミーティングの場で太ももを拳で叩いて悔しがっていたこと。外国人枠もあり、必ず数名は外れるし、作戦面で致し方ないときもあるはずなのだが。もちろん、ニュージーランドやオーストラリアの選手だって、そこまで感情を露わにしないにしても、試合に出られなければ悔しがる。仕事だから、ということではなく、ただラグビーをプレーしたいのである。

つまり、日本人から見れば、海外からやってきた有名選手は余裕でプレーしているように見えても、危機感もあり、なんとか試合に出ようと懸命の努力をしている選手が多いということだ。「外国人選手が多すぎるのではないか」という批判の声を聞いたときの、彼らの寂しげな表情も何度か見てきた。異国で奮闘する選手達の心情を、少し思いやって試合を見ると、違った楽しみが出てくるかもしれない。

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